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 2014年 4月
4月20日(日)
え、もう前回の日記更新してから2週間経ったの? 先週のような気 がしてた。
しかしアレなんだよな。前回の日記に上げた絵は実は前々回の更新の前に描いた絵だったから、実質1か月近くお絵描きしてなかったんですよ。
という訳でリハビリがてら版権絵を描いてみました。

ひめ


にこ


映画日記。週2本以上がデフォになってきてて今回も5本。
先々週の金曜日、仕事帰りに前の週に観損ねていた「アデル、ブルーは熱い色」。
今年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作。にしても、こんなに作為性を削ぎ落とした作品だとは思ってなかったので驚いた。剥き出しのリアルで、恋愛映画なん だけど、映画を観たというよりも知り合いの女の子の恋愛体験を知った、という感覚に近い。
演技や演出の痕跡を丹念に拭い去ったような映画で、音楽無し、各種エフェクトの不使用、クローズアップの多用等によって「アデルの人生」(原題)の各場面 を重要性の順位を付けずにそのまま映し出すことによって、物語性を観客の目に拾わせているようにしている感じ。
監督と一緒に役者として史上初めてパルムドールを受賞したメインの2人の女優が素晴らしい。特に主人公のアデル。映画が余計な事をしてないので、彼女の表 情から心の機微がつぶさに読み取れるんスよ。今キスをしたがってる、とか、今心が相手の方に向いてない、とか手に取るように分かるの。
女性同士の恋愛を描いていて、そのレベルは百合というよりも完全にビアンなんだけど、この手の作品にありがちな社会的抑圧みたいな部分は薄めで、普通の恋 愛として、男女間に置き換えても成立可能な話として描いている。破局の原因が性別に起因してなくて、社会的環境による価値観の差異だし。
そして、レズSEX描写が容赦ない! 流石R-18! 長い! しつこい! 貝合わせも手マンもクンニもドンと来い!(下衆だなあ) でも必要以上に欲情を煽る感じにはしてないんだけど、生々しすぎて引くまでは行かず、画的には見てて美しいというラインをキープしております。



翌土曜日は街に出て「アクト・オブ・キリング」。名演小劇場、栄駅か ら歩くのたるいなあといつも思ってたんだけど、新栄駅からだと目に見える近さにあるのにこの日になって知る(映画とは関係ない話)。
60年代にインドネシアで行われた100万人規模の大虐殺を当事者達の証言で描いたドキュメンタリー。この映画が特別なのは、現在は英雄として祀り上げら れている加害者側を描いているという事。当事者達が悪びれもせず喜々として虐殺の様子を語っている衝撃。
虐殺の加害者達に当時の様子を再現フィルムとして自ら演じて映画にしないかと持ちかけ、その撮影時の顛末をドキュメントにした物。出演者達がスター気取り で、武勇伝として自らの殺人という行為を再演していく狂気。単なる歴史告発を超えて人間の本質に揺さぶりをかける。もう、ぶちのめされました。
主人公となる、虐殺を実行した部隊のリーダーが出てくるのだが、これがハンニバル・レクターやアントン・シガーみたいな人物ならば逆に別次元の生き物とし て安心出来るのかもしれないが、これがチンピラ上がりのような男で、自分達と地続きの人間である事に恐怖を覚える。
究極の悪を行うのは、究極の悪人という存在ではなく、唯の人間の中にある究極の悪の部分であるというのを突き付けられているような。当時に理由が与えられ て、過去となった今尚断罪されてない加害者達が誰一人として罪悪感を抱えずに屈託なく過去の行動を語っているし、また皆、本当に小物っぽいんだよ。
現在の様子でも悪行が正々堂々過ぎて笑いに転化しそうなくらいにシュールさがあるくらい(地元の選挙戦に出る動機とか、国営放送の対談番組の場面とか)。 話逸れたけど、この映画の最大の見所は虐殺という行為を再演する事によって主人公の心境にパラダイムシフトが起こる部分。
映画の最初で当時殺人を起こした場所でどんな風に殺したかをご機嫌に話していた主人公が、再現映画の撮影として虐殺行為を演じて追体験する事によって、映 画の最後で同じ場所を訪れた時にどうなったかは映画を観ていただく事にして、行為であり演じるという意味である「アクト」(Act)というタイトルは深い。
にしてもこの映画、エンドクレジットまで衝撃で、現地スタッフの大部分が「Anonymous」 (匿名)ってクレジットされるんだよね。身の危険があるから。



「アクト・オブ・キリング」を午前中に観て、昼から別の映画館で「ワールズ・エンド」観ようと思ったら何と昼の回満席。そんなに人気あるんだ! ただ、2 スクリーンある映画館なんだけど昼の回だけ小さい方のスクリーンでやってるんだよ。
夜の回までは時間が空きすぎてたのでこの日は断念して、翌日曜日、ニチアサの後ダッシュで映画館へ向かい午前中の回で「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」。
楽しかったよ。ジャンル映画に愛を捧げる「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ」に続く監督・主演トリオの最新作。ゾンビ物、刑事物ときて、今 回のネタは侵略SF物。緊迫的な状況なのに登場人物達がやたら楽しそうなノリは今回も健在。
相変わらず面白い脚本書くなぁ。高校時代の旧友が集まってはしご酒する話が地球の命運を左右する戦いに発展しアーサー王伝説まで行きついてしまう展開と か、台詞の掛け合いの異常なまでのテンポの良さとか(これは英語が分かった方がより楽しめそうだけど)、バカ話なのに伏線の張り方の上手さとか。
馬鹿騒ぎ度はそのままで、話の飛躍の仕方は今まで以上なんだけど、今回はシリアスさが一番前面に出ている印象。文化・経済のグローバリゼーションに異議を 唱えるテーマがしっかりと見て取れる所とか、青春時代をピークに人生が止まってしまった主人公が自分の人生を取り戻す所とか。
あと今回は格闘アクションにやたら力が入ってるんだよねぇ。細かいカット割りに頼らず、結構ガッツリ動いてる。エドガー・ライト監督こんなにアクション しっかり出来るだったのか。次回作の「Ant-Man」(アメコミヒーロー物)も期待できそうだぜ(まあ基本外さない監督だけど)。
ジョン・カーペンターをイギリスの田舎町でやってみましたって感じで面白かったよ。光る眼とか、仲間の中に偽物が紛れ込んでいるんじゃないかと疑心暗鬼に なる場面とか、あとネタバレになるので反転させるけど、最後に主人公の選択で…って展開が「エ スケープ・フロム・L.A.」のラストを思い起こさせた。
あ、あと劇中で使用されてる80年代末から90年代頭までのイギリスの楽曲(主人公達が青春時代に聴いていただろう)が俺的にもツボだった。テーマ曲とも いうべきプライマル・スクリームから、ブラー(1stの曲)、スープ・ドラゴンズ、スウェード、ティーンエイジ・ファンクラブ…。個人的にオッと思ったの がハウスマーティンズ。プライマル・スクリームやブラーは今でも聴くけど、こっちは久しく聴いてなかったからな。



この週末はまずは街に出て「ある過去の行方」。
「別離」で世界中を席巻したイラン人監督アスガー・ファルハディの新作。演出的には全編通して落ち着いて淡々としてるんだけど、同時に次の瞬間には修羅場 が訪れてもおかしくない、嵐の直前の静けさのような緊張感がずっと張り詰めていて、落ち着いて見られる瞬間が無え。
サスペンス色は前面に出してないんだけど、基本的にサスペンスの構成というか、物語が進むにつれて隠されていた事実が徐々に明らかになっていく形なんだけ ど、情報開示のタイミングと順番と情報量の塩梅が絶妙で、これがテンションが弛まない要因になっている。
でも謎解きで盛り上げる映画じゃなくて、あくまでも人間描写がメインのドラマ。じっくりと人間内面の機微を描く方に力を注いでいて、逆に謎解きの場面の方 がチープに見えるくらい。しかし、こちらに開示された情報の度合いによって登場人物の見え方がコロコロと変わっていくってのが面白い所か。
知っている内容の度合いによって登場人物対観客に限らず、登場人物対登場人物でもそうで、話せば分かるという単純な物でもない、人と人が分かり合う事の難 しさ、複雑さってのが描かれている。だからこそ、言葉を超えて人と人とが繋がる瞬間を描いたラストシーンがインパクトある。
ディスコミュニケーションと言えば、ガラス越しに声の聞こえない会話シーンがやたら挿入されてたのも示唆的だったなあ。あとヒロインが無声映画「アーティ スト」のヒロインだったのね。



そして家に帰ってから近所のシネコンで「キャ プテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」。
これは出来の良さで言うなら一連のアベンジャーズ関連作品群の中でもトップクラス。 ストーリーとアクションが、他のヒーローではないキャプテン・アメリカだからこそ成り立った奇跡的なバランスで高次元で融合されている。傑作!
まず特筆すべきはアメコミヒーロー物ながら骨太のポリティカルスリラーでもあるという点。前作のナチスみたいに分かり易い対外的な敵がいない中、「アメリ カの正義」に対して正にその言葉を体現するような存在であるキャップが目に見えぬ巨大な陰謀と孤独な戦いを繰り広げていくというシリアスさ。
んで潔白そのものというべきキャップと、限りなくグレーなイメージのニック・フューリー、ブラック・ウィドウを絡ませることでストーリーに緊張感と奥深さ を与えていている。まあ、終盤になると割と対立構造が単純化されちゃうけど。最後まで複雑化させると爽快感が削がれるからな。
あとこの作品の魅力はストーリーだけじゃなくって、アクションがキレッキレな 点。マーベル映画でもトップクラスだと思う。生身で戦うキャップなのだが格闘アクションのスピードとキレがハンパない。そしてシャープさとダイナミックさ を兼ね備えたカーアクションが凄い。更にアメコミヒーローっぽい大掛かりで派手なドンパチやガジェットアクションまで完備しているという完璧さ。キャップ と生身で互角に渡り合えるウィンター・ソルジャー、キャップに足りない飛行部分を担うファルコンというキャラを配備して死角の無いアクション映画にしてい て憎らしいくらいそつが無い。
ポリティカルスリラーの面に格闘アクション、カーアクションまでプラス出来るというのは、パワーが凄すぎないキャップだからこそ出来るバランスだよなぁ。 ケチをつけるとすれば、シリアス過ぎてユーモアの入る余地が殆ど無い所か。この点は好みが分かれる部分かもしれない。
前作観てなくても十二分にお楽しめますがアベンジャーズを挟んだ後だけど想像以上に「続編」してました。前作から70年後の世界が舞台だけど、前作登場 キャラの再登場パターンが結構色んな手を使っていて楽しい。



久々に漫画でも、というかCMネタなので風化する前に早目にやっておかないと、というネタ。

プリキュアコラボ新商品


2週間後じゃもうかなり鮮度が落ちてそうだからな。
にしてもハピネスチャージプリキュア初漫画がコレか。あとハピネスチャージプリキュアの略称って結局何なの? ハピプリでいいの?



4月8日(火)
お久しぶりです。生きてたよ。
いや、絵日記を忘れてたわけではないんですけどね。風邪ひいて寝込んでそれが長引いたりとか(今もまだ治りきってない)、週末急な夜勤で土曜がつぶれたり とか、なんやかんやありまして。サボリ月間じゃないのに3週間以上空いちゃいましたよ。前回の日記の時はまだ「いいとも」やってたよ。タモリも生きてたよ (死んでねえよ)。

えーっと、前回はイベント参加告知更新だったんだっけ。告知のおかげで新刊のコピー本は2部売れました。
イベントで惨敗すると次頑張ろうって気になるよね…。
地元のレイフレで惨敗した時も思ったけど、やっぱコミケくらいの規模でないと動かないなぁ。ウチのサークル。でも、そのコミケでも年々下方修正してるし なぁ。
いかん、精神が負のスパイラルに落ちてしまう。
さて、イベントの時に飾ってたポップの絵↓



kankorem@ster the movie。こんな本は置いてなかったんですけどね。

イベント中は暇だったんで、kindleで本読んでたりとか、あと同時開催していたコスROMイベントに遊びに行ってたりとかしてました。暇だし留守がち だしってんでこんなの描いてましたよ。




使用例


絵日記の更新が滞ってたんで映画感想が溜まってしまった。前回が金曜更新なこともあってか、前回から観た映画が…10本!?
サクサク行こう。

アナと雪の女王
近年ピクサーとの評価逆転現象すら起きているディズニーアニメの充実振りを見せつける貫禄の傑作。まずはアニメ云々より前に、人の感情のほとばしりを歌と いう形に込めて表現するというミュージカルという物が持つ根源的なパワーにやられて涙腺緩んだ。
そしてアニメーションとしての技術の高さ。雪や氷の表現とかのCG技術的な面でもそうだし、画面構成やカメラワークの美術的・演出的な面でもそうだし、 キャラクターの表情や動きの芳醇さという両方の面の合わせ技的な面でもそう。感心する場面は枚挙に暇がないが退屈な画面は1秒たりとも無い。
まあよく謳われる「真実の愛の物語」なんだけど、単なる男女の恋愛話に矮小化することなく、「自分ではない誰か他の人を思う心」こそが愛である。という テーマは小さな子供からお年寄りまで誰もの心にストレートに届く感動を生み出すし、クライマックスの展開のサプライズも生み出す。
話的にはもっと二転三転するかと思ったら結構あっさりしてたかなってのが個人的感想だけど、歌で構成されるミュージカルであんまり話を複雑にすると尺も取 られるし、逆に1時間40分の映画を「もう終わり?」と思わせるってことはそれだけ中身も充実してた証でもある訳で。
つか序盤の方はストーリー展開や状況説明のあまりの手際の良さに逆に「トバすなあ」と思ったくらいだからな。あと話し変わるが、ヒロインがタイプの違う二 人のイケメンに挟まれて揺れ動く感じは今っぽいなあと思った。「トワイライト」以降っつーか。
雪だるまのオラフは雪だるまという特性を生かした体を張ったギャグがフレッシュだったし、子供たちにも受けてた。あと、「プリンセスと魔法のキス」でもそ れで号泣させられたあの手の展開が今回もあってさあ。泣いちゃったよ。まあオープニングのミュージカルシーンの段階で既にウルってたんだけどw



上映前に「ミッキーのミニー救出大作戦」って短編(先日のアカデミー賞で短編アニメ部門ノミネート作)が上映されるんだけど、20年代のミッキーアニメと 現在3DCGアニメの融合で野心的かつ面白かった。ミッキーの声は初代CVウォルト・ディズニー御大の音源を使用。

プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち
物語的にプリキュア以外のキャラの主人公を立てて映画としてのまとまりを作り、メッセージ性を前面に押し出す(悪い言い方だと説教臭くなる)という NewStage路線は今回も継承されてました。
そのメッセージの啓蒙対象が子供達だけではなく付き添いの保護者にまで及びだしてきたってのが今回の印象。今回NS1、2に比べ過去プリキュアの声の出番 が一番多いんだけど、メッセージを直接声で次々に伝えていく役割なので「ACのCMみたい」と思ったりも。
アクションに関してはプリキュアの数も膨大になってきたんで「300」的な軍団対軍団の戦闘になってきていて面白かった。広大な戦場をカメラが横移動で駆 け抜けつつ前景、中景、後景でそれぞれプリキュアが闘ってる場面の映像なんかはオッと思った。
オールスターズならではの戦闘シーンでのシャッフル感も、防衛ユニット勢が前線で防御をしつつ遠距離攻撃ユニット勢が後方から攻撃とか、ムーンライト& エースのBBAプリキュアツーショット攻撃とか、まあここいらはASのキモの醍醐味の部分なので楽しめます。
あと今回も一部戦闘シーンにCG使われてて、モデリングに時間・予算はそんなにかけられないのであくまでもスピード感に特化した使われ方してたのは良かっ た。一部でも効果的な使われ方すれば今後も大きな可能性があるのではないかと感じさせる。
NSシリーズ最終作ってことで1、2のキャラの再登場、妖精のいないプリキュア、キュアエコーとプリキュアのいない妖精エンエン&グレルの出会いで綺麗に 締めくくられてたのが印象的。劇中のメッセージ性よりここが一番の感動ポイントだった。
あと恒例の全員でのEDダンス。えー今回最高傑作です。ステージングが最高。夜の街中でプリキュア達が歌い、踊り、そして今回は周りのオーディエンスが光 の点とかじゃなくてちゃんと群衆として描写されており、祝祭感がハンパないです。東京オリンピックの開会式これでいいです。
あ、剛力は気付かないと気にならないけど、一回気付くと気になって仕方がない。って感じでした。



あなたを抱きしめる日まで
泣いた。前知識で予想してたよりも遥かに深くて大きなドラマだった。特に中盤のあの展開は全くの予想外で、これは予告編作った人にしてやられたわw。カト リックの老主婦の息子探しの旅の執着地点で達する「慈愛」と「贖罪」の大きさに心打たれて泣くしかなかった。
若い頃に生まれたばかりの子供を修道院に取り上げられた女性が、元エリートジャーナリストと共に息子探しの旅に出る。って話で基本線は正反対の二人のやり 取りのおかしさを描いたコメディなんだけど、カトリック教会の闇や80年代アメリカ政界におけるセクシャリティの問題まで盛り込んでて面白い。
ギャップと言えば、主要キャラの二人の間だけではなく、主人公の老女性の中に存在するそれも興味深くて、読んだロマンス小説のあらすじを嬉々として語る可 愛いオバサンの側面と、50年間信仰と罪と罰の間で苛まれてきた女性の側面が同居していて、その両面を演じ切るジュディ・デンチが素晴らしい。
そんな主人公が旅路の果てに、その場にいる誰よりも高貴な存在となるあのクライマックスの力強さ! 号泣! ジャーナリストの出会いと旅を続ける中で信仰の狭間で揺れ動いた普通の主婦である彼女が最後に登場人物の誰もが届かなかったキリスト教の本質ともいえる核 に手が届く瞬間の神々しさ。
ミステリー的な要素もあって、ストーリー面でも見応えがあるんだけど、小物の使い方も上手い。ギネスビアの使い方とかさ。あと途中で何度か挿入される息子 の成長映像の正体が明らかになる瞬間とかは非常にさりげなくて盛り上げポイントって感じにしてないんだけど、個人的にはここで涙腺決壊した。



ロボコップ
バイオレンス面に関してオリジナルがパンチ効きすぎてるんで行儀良い感じになっちゃうのは仕方ないが、外国人監督から見たアメリカの社会的闇みたいな雰囲 気は共通してるし、デザインや設定、世界観の現代的なアップデートが非常に上手くいってると思います。
近未来、アメリカが世界中にアメリカ兵の変わりにロボットを派遣して秩序を維持しているのに、アメリカ国内には法規制によりロボットを配備できないという 世界状況から物語が出発し、企業、政治家、メディアによる世論の引っ張り合戦で話の方向が動くというのは非常に現代的で上手いアレンジだよね。
オリジナルではロボットの主人公が徐々に人間性を取り戻す展開だったけど、今回は人間性が売りの筈のロボコップが、性能向上、納期厳守、運用トラブル等で 主人公の意思を無視して逆にどんどん人間性を削がれていくことになる展開に笑った。この黒い感じいいわぁw
デザイン的にはアップルの製品みたいな新ロボコップ嫌いじゃないけどな。あのバイクも込みで。あと機械部分取り払った時のビジュアルも好き。まあ、この黒 いロボコップもラストのあるカタルシスの伏線でもあったりするけど。つか想像以上にメタルギアソリッド感あった。
アジテーションで世論を煽るタカ派TV司会者役で狂言回し的に出てくるサミュエル・L・ジャクソンの怪演も見所のひとつか。ちゅかオープニングのMGMの ライオンのロゴ! あそこがこの映画で一番の必見ポイントかもしれない。



LEGOムービー
傑作。子供向けアニメと侮るなかれ、つーかウィル・フェレルの一般向けアメリカコメディ映画の系譜っつーか(ウィル・フェレル、今作に声優とかで参加して るが)、馬鹿馬鹿しさの力押しと一瞬の隙を突く絶妙の外しを押さえつつ真面目なテーマも盛り込んだ良作コメディでした。
レゴブロックを使った映画できちんと「創造性」というテーマを扱うのは真摯な姿勢だよね。もちろんレゴブロックというのはメタファーでもあり、アイデアと いうものの重要性とか、常識に囚われて想像力に限界を設けるなとかいう普遍的に応用できるメッセージを伝えている。
とはいうものの基本的にはすっとぼけコメディ。ギャグには好みがあるだろうけど、レゴのフィギュアの限定された動きだからかもし出せる味のある芝居や、全 てレゴブロックで構築された世界(建築物だけでなく波や煙といったエフェクトまで目に見える物全て)は単純に視覚的楽しさがある。
CGアニメながら実際にレゴで構築できる美術デザインとブロック自身の質感再現度の高さとがあって、ストップモーションアニメのようなルックスを実現でき たからこその視覚的快感。フィギュアの細かな傷とか色剥げとか指紋の跡とか凄いのだが、それが視覚的にだけでなく物語的にも機能させてるのが凄い。
子供には「ぼくがかんがえた最強ののりもの」みたいなガジェットがスクリーン内を縦横無尽に暴れまわるだけでも楽しいだろうが、終盤の展開なんかは大人で も驚く、つーか逆に子供には分かりづらく大人だからこそ楽しめるって部分もあるんじゃなかろうか(最後のオチとか子供ピンと来ないよね?)。
あ、吹替版で観たけど基本軽めのノリだけどあの予告のような事態にはなってなかったので一安心。予告では永井一郎氏が出てたけど、本編では羽佐間道夫氏に なってました。声優は一流どころばかりなのですが数十人のキャラを8人の声優で全て分担するってことやってたので、山寺宏一と山寺宏一が会話するなんて場 面もw


これはまともな方の予告


ウォルト・ディズニーの約 束
また泣いた。64年のミュージカル映画の金字塔『メリー・ポピンズ』誕生の裏側で繰り広げられた原作者P.L.トラヴァースと製作者ウォルト・ディズニー 間の確執と交流を描いた物語。名画制作秘話的な楽しみを盛り込みつつ最後には物語論にまで踏み込んでいく。
映画製作陣に対しダメ出しを連発する原作者との対決の構図が描かれるのだが、それと並行して原作者の少女時代が語られていき、何故原作者が頑なな態度を 取っているのかという謎が徐々に解き明かされていくミステリー的要素が絡んで、物語が立体的になってるのが面白い。
クライマックスのウォルト・ディズニーとP.L.トラヴァースの対峙により全ての謎が明らかになるのだが、単なる謎解きのカタルシスだけでなく、何故アー ティストは物語を紡ぎだすのか?という領域にまで話が及び、ディズニーによってトラヴァースが自己肯定に至るドラマにカタルシスがある。
序盤の方は偏狭な英国女と世界的アニメ王というキャラとしてカリカチュアされた、それこそディズニーアニメのような演技を見せるエマ・トンプソン(トラ ヴァース)とトム・ハンクス(ディズニー)がクライマックスで己の人生を吐露する一人の人間となる所とか、もう流石名優って感じ。
「メリー・ポピンズ」は観てるに越したことはないが、観てなくても十分に楽しめると思われ。逆に言うと「メリー・ポピンズ」観たことがある人なら必見。逆 に「ウォルト・ディズニーの約束」観てから、こういう風にして完成した映画がこれかぁ、って感じで「メリー・ポピンズ」観るのもいいかも。
あと60年代ディズニーランド再現ってのもディズニークラスタ的には見どころなのかな?」



ローン・サバイバー
凄まじかった。女っ気無し、出てくるのは兵器と戦士だけ、上映時間の7割くらいは銃撃戦だったんじゃないかってなくらいの、娯楽映画というにはハードコア 過ぎるガチ戦争映画。しかし戦闘描写が壮絶すぎてドラマにまで昇華していて見ごたえは十分。
その迫力ある戦闘描写でも、また失敗に終わった米軍の作戦の映画化(そしてそれにより浮かび上がる戦場の理不尽性)という点でも、山岳版「ブラックホー ク・ダウン」というべき映画だが、登場人物達の痛めつけられ具合がハンパない。特に執拗なまでの転落場面の「痛さ」な。
主人公達がむき出しの岩に背中を打ち付けられ木の幹に顔面をぶつけ急斜面の岩肌を転げ落ちる場面の痛さは戦争映画のそれというよりはもう「ザ・レイド」と かトニー・ジャー映画のそれ。単に撃たれるよりも辛そう。しかし、ここまで打ちのめされても心が折れないネイビー・シールズの凄さってのが主題。
オープニングタイトルで実際のネイビー・シールズの壮絶な訓練シーンから始まるが、シールズの強さというのは肉体的なそれよりも精神的なそれが重要であ る、ってのを描いてる。自分たちを窮地に追い込む「ある選択」に関して、選択後に決してネガティブな発言を一切しない所とか。
山中で4対200という絶望的な状況に追い込まれても、決して諦めることなく最後まで戦い抜く…って言葉にするとチープに響いちゃうんだけど、無理ゲー的 な状況に置かれたときに負の感情を一切出さずに「俺は死神だ」と言ってライフルで敵を一人一人仕留めていく場面には震えた。



ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中
笑ったw。「ボラット」「ブルーノ」のように大まかなストーリーはありつつ、主演があちこちで素人の人に細かなドッキリを仕掛けて笑いを取る形態の映画。 サシャ・バロン・コーエンのような社会批評性は殆どありませんがw
笑うよりも引く方が多かった今までのジャッカスシリーズからすると大分エグみは緩和されてて見やすくなってます。ウンコもゲロも…えーっと本物のウンコは 出ないしな。仕掛ける側が80代の老人(に特殊メイクで扮した男)と8歳の子供(子役)ってのも作用しているのかも。
エグみ緩和は、エンドロールで「さっきのは映画撮影のドッキリでした」ってのを見せてくれるからってのもある。一般の人が騒動に巻き込まれて不快な思いだ けをして終わるのが無いってのが分かるだけでも救われる。それに体を張るのが老人側ってのもあるしな(スーパー前の乗り物の場面とかな!)
しかし基本は、くだらねえ!(褒め言葉)のオンパレード。シモの方も全開で、のっけから自販機の釣り銭が出る所に突っ込んだチンコが取れなくなって無理や り引っ張ったら尋常じゃないくらいチンコが伸びる(もちろん特殊メイク)場面ノーモザイクとかな。(通りすがりの人のリアクションも良い!)
もう、この仕掛けがあの仕掛けが、あのリアクションがこのリアクションが、って列挙していってゲラゲラ笑うだけの映画なので皆で観に行って笑うのが一番だ し、一人でも、劇場内の客と同じ空気を共有して笑う事が出来るので映画館行くがよろし。
個人的には騙されて死体遺棄を手伝うことになった二人組の黒人の方の表情が絶品だったのと、子供を段ボールに入れて宅配便で送ろうとした時の受付の女性の 行動。箱に子供がいるって分かった後に、蓋閉めようとしたり、毛布を入れようとしたりとあくまでも宅配する方向の行動に笑った。



LIFE!
「ズーランダー」「トロピック・サンダー」と同じ人が作ったとは思えない程抑揚を抑えている。いや映像的にはかなりド派手なんだけど、物語自体は主人公の 半径1m以内を描くのに徹しているので、観終わった後の感触はほっこり小品を観たような感じ。
ゴージャスな映像を使いながら、感情にガツンとぶつかってくるというよりは静かに波を起こしていく感じってのが非常に贅沢感を感じさせて、良い物見たなっ て満足感。にしても映像のレベルの高さ凄い。パロディとしてのアメコミ映画風アクションが「風」を超えて本物と同クオリティなんだもの。
序盤で高クオリティCGで空想の世界を描いておいて、後半主人公が冒険の旅に出てからは実際の圧倒的な自然の映像を使っていて、こちらの映像がCG以上の 雄弁な迫力を持っているんだよね。もうBBCの自然ドキュメンタリーレベル。
アクションだったりロケーションだったりCGだったり映画内の様々な要素をそれぞれメインで1本撮れるほどの高クオリティで、ってのは誰もが考えるんだけ ど、実際に実行できるだけのバジェット、作り手のパワー、ってのはそう簡単には揃わないので、これを味わわない手は無いっつーか。
ストーリー的にも写真のネガってマクガフィンを使って興味を断続させず、ニューヨークと北極圏、主人公の過去と現在、といった断絶した場所と時間を、写 真、ケーキ、スケボー、ピザ屋、バックパックといったアイテムを使ってパズルみたいにピタッと結びつける技も非常に上手い。



ROOM 237
スタンリー・キューブリック作品の中でも妖艶でミステリアスな魔力を持つ恐怖映画『シャイニング』の徹底解析に挑むドキュメンタリー。なんだけど、これが 『やりすぎ都市伝説』ばりの深読み合戦で、見てるこちらが「な、なんだってー!」となる系のエンターテイメント。
そもそも、製作者側の証言・意見・承認・是認・提携といったものは一切無しで、5人のキューブリック研究家達がひたすら私見に基づく自論を披露しあうとい う代物。「キューブリックが意味の無い物を画面に映す筈が無い」という考えを拠り所に、考察が妄想スレスレまでドライブしていくのが面白い。
この映画はホロコーストを扱った映画であるとする説やら、キューブリックが月面着陸映像の捏造に加担してしまったことの告白である説とか飛び出してくるの だが、劇中に映るタイプライター、衣装の柄、数字、プレートといったありとあらゆる物を繋ぎ合わせてゴールに辿り着かせる剛腕ぶりに笑う。
他の映画なら単に撮影時の進行ミスで済まされてしまうような事象が、いや、何か意味がある筈だ…と考えさせられてしまうのが他ならぬキューブリックの魔力 というか。確かに気付かなかったけど言われてみれば単なるミスで片づけられないような事象がどんどん指摘されていくのも興味深い。
ホテルの見取り図を作成して、ダニーが三輪車で走るルートを検討したり、構造的にある筈が無い窓の存在を指摘したりとかのまともな(?)謎の検証もある よ。あと映像的に単にバストショットの人物が喋るというのではなく膨大な他映画の映像もサンプリング的に駆使して使ってるので単調さが無い。



ふいー、疲れた。
最近お絵描きできてないのは休日に映画ばっか見てるからじゃないのか? 最近週2本がデフォになってるしなぁ。


(画・文 P.I.L.)

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